「新型コロナウイルスが流行した今におけるマスクについての私見」のこと

2020.3.11

 

新型コロナウイルスのコントロールができるかどうか、全世界で瀬戸際の勝負が続いています。

日本においても保健所の職員の方々など、関連の皆様はそれこそ不眠不休で大変だと思います。

接触者センターに電話をしてもずっと話し中なのも致し方ないのかもしれません。

文句を言うのは簡単で、また言ってみたくもなりますが…

 

 

それにしても世の中にマスクがありません。

当クリニックの在庫も節約しても2ヶ月が精いっぱいで、新たな入荷の予定はゼロ、です。途方に暮れています。

考えられない異常事態です。

もっとも、トイレットペーパーがなくなり、(非常用)食料や水やお茶も店頭から消えつつあることを考えると、マスクやアルコールが無くなるくらいは予想の範囲内、ということになるかもしれません。

 

 

以下は個人的な私の考えです。

 

 

高度の防毒・防塵マスクを除くと、マスクは基本的には人にツバキ(飛沫)をばらまかないようにするためのものだと思います。

 

ですので、人からウイルスをもらうのを防ぐ、という観点において、マスクはしないよりはしたほうが安全(安心)、の程度だと思っています。

「安全」の意味は、もしかしたらここにいるかもしれないウイルスを吸入する確率が下がり、ひいては感染、発病の確率が下がる、ということです。

 

問題は、そこにどのくらいウイルスがいるのか、どのくらい確率が下がるのか、ということです。

 マスクをしなければ10%感染、したら1%、であれば何が何でもマスクの生活をしたくなります。

 マスクをしなければ0.1%、したら0.01%ならば考えてもよいかな、のレベル。

 マスクをしなければ0.01%、したら0.001%だとその気になりません。

そのあたりのデータはおそらく存在しないのだと思います。だからこそ賛否いろいろな意見がまかり通ります。

 

 

今回の騒動で、マスクの効果についての過去の論文がいろいろなところで紹介されていますが、たとえばインフルエンザの患者さんの家族がマスクをつけて生活しても、つけなくても、感染して発病した割合に差がなかったというような、効果なしの結論のものが目立ちます。

 

一方、結核病棟で診療や看護をするときにはN95マスクを装着して毎回フィットも確認する、というのは常識として行われています。

また、テレビでよく見るように白装束の宇宙服みたいな防御服やマスクも必ず効果があるわけで(効果がないのなら単なるまぬけ)ので、すべての場面で意味なし!、と結論を出すこともできません。

おそらくは、そこにウイルスや菌がたくさんいることがわかっている状況では必須、一般の生活範囲では疑問、といったところなのでしょう。

 

 

 

マスクは咳の直撃を受けたときにはかなり有効です。

 なので私は診察時はマスクをしています。

 ついでに花粉用メガネもかけています。普通のメガネでも目への飛沫の直撃はかなり防げると思いますし、一方ゴーグルであればその防御効果は絶大でしょうが、物事には中庸ということがありますので。

 

バスや飛行機、狭い部屋などの閉鎖された空間でつけているのも意味はあると思います。

 私は機会が少ないですが、先日電車に乗ったときにはマスクはしませんでした。

(ポケットには入っていました。咳が聞こえたら即つけたと思います)

 

街中にどのくらいウイルスがただよっているのか、と考えたとき、屋外でもず〜っとマスクをし続けていることにどれくらい予防効果があるのだろうか、と疑問に感じています。

なので、私は屋外では基本的にマスクはしていません。(数少ないマスクがもったいない)

 

 

さらに、いくら性能のよい繊維を使用した製品でも、いくらぴったりフィットさせたつもりでも、上下左右の隙間は避けられず、一般のマスクごときでウイルスの侵入を完全に予防などできるはずがありません。

過度の期待は裏切られたときの落ち込みが大きいので、そこそこの信頼しかしていません。

 

 

私たち一般国民の立場で感染の拡がりを防ぐ一番の対策は、風邪症状があるときはとにかく休んで自宅にいること、これを徹底できるかどうかに尽きると思います。

もちろん病状がひどいときは相談センターに電話、あるいはかかりつけ医に相談しましょう。他人にうつしてしまう申し訳なさよりも自分の命が大切です。

そして、マスクの一番重要な意義である、「咳が出ている人が装着して飛沫が飛び散るのを防ぐ」、ことを「みんな」が実行できるかにかかっています。

マスクを買い占めている人は、その対策の機会を奪っていることになり、結局は自分の首を絞めていることになります。

 

 

そんなこんなを考えたとき、世にはびこる「理想的な」マスクの使い方(捨て方)はあまり意味がないことがわかります。

 

・一度外したらオモテ面を決して触らず丸めて捨てましょう(ウイルスがついている)

・洗って再利用してはいけません(繊維の穴が大きくなる)

・ポケットにポイッと入れてはいけません(ウイルスがズボンにうつる)

 

これらはそこにウイルスが山盛りいるような状況(クルーズ船内のような)では正解ですが、現時点の世の中、しかも屋外で、あなたのマスクにウイルスが大量に付着している可能性は低いといえます。

 

どんどんすてても大丈夫なほど潤沢に手持ちがあるならともかく(それはそれでヒンシュク)、今の状況で勧められているような捨て方をしたら、すぐ近い将来に在庫がなくなって丸裸になってしまいます。

 

行けるところまで完全防備で戦って、力尽きたらノーガードでめった打ち、というのは賢い戦略ではないと思います。

 

妥協できるところは妥協して、洗って性能が落ちても、つけたり外したりを繰り返してよれよれになっていても、ウイルスのいる確率が低い場面では50%でも60%でも効果があればよしとは考えられないでしょうか。

世の中の状況を見ながら長期戦に備える戦い方を工夫しましょう。

 

 

(4月1日追記)

この文章を書いた3月11日ころにアメリカでぽつぽつ新型コロナウイルスの患者さんが出始めました。

それからわずか3週間でニューヨークはとんでもないことになりました。

日本はまだ持ちこたえています(公表された数からはそのように見える。かつての大本営発表と同じでないと信じています)が、これからどの道をたどるのかは不明です。

マスクに関しては、無症状〜軽い症状の人が感染源になっていることが判明しましたので、わけわからず人にうつしてしまうことを予防する、の意味で常にマスクをしておくのは推奨されてしかるべきです

(本文にも書きました通り、それでウイルスをもらうのを防ぐ、ことには大きな期待はできないと思っています)

万が一にも他人に迷惑をかけたくない、かけるべきでない・・・日本人の美徳ですが、過剰になりすぎて、自警団がマスクしてない人をリンチ、なんてことにならないことを祈ります。

 

それにしても、全く無症状の人からうつる、ってどういうことでしょう?。息をするだけでウイルスをばらまいているのでしょうか。私の理解の範疇を超えます。

 

 

 

 

 

hirotani-clinic「@」heart.plala.or.jp (迷惑メール防止のため@の前後に「」をつけています)