💛医療費のこと💛

2006.4.18

 

 

 **下記記載は2006年時点のもので,2008年の改定で内容は変更になっています(2008.4月追記)**

 

     

 

 4月から医療費が改訂になりました.今までも2年に一度変更は行われてきたわけですが,恥ずかしながらこの10数年間,まったくそのことに頓着なく医師として過ごしてきました.それは,病院勤務の時代は診察室や病棟で検査の計画をたて,点滴や薬を処方するときに,値段のことなど全く考えの中になかったからです.必要な検査だから,必要な薬だからいくらかかろうと仕方がないわけですが,その伝票を集めて集計し,請求書をお渡しするのは事務の仕事であり,実際問題,自分の担当患者さんの医療費が一ヶ月いくらなのかも知らずにいました.クリニックをもったから意識が変わった訳ではなく,おそらくは電子カルテで今行おうとしている検査の値段が目の前にポンと現れることがとてもリアルで,財布のことを思わず考えてしまうのだと思います(もともと貧乏性なのかもしれません).今回の改訂は,マイナス3%強の史上最高の減額なのだそうです.もっとも,これはあくまでも総額のはなしで,個々の項目については増加/減少さまざまですので,みんなが一律3%安くなる訳ではありません.当院に来られている方のよくあるパターンについて,どんなふうに変わったかをお示しします.

 

 あくまでも代表例ですので,実際は少し異なることがありえます.また,記載の金額は総額ですので自己負担はそれぞれの保険に応じて1割,3割になります.

 

 

高血圧/高脂血症.月1回通院

 

    高血圧や高脂血症の場合,薬を変更したり,自他覚症状を認めたりといった特別なことがなければ,年に2回くらいの血液検査(副作用チェック),レントゲン,心電図(合併症チェック)を行っています.普段の外来診察では,診察と処方せんの発行だけですが算定される項目は以下のようになります.

      ・再診料 710円.

      ・外来管理加算 520円.

      ・特定疾患療養管理料 2250円,

      ・処方せん料 680円(7種類以上の薬を処方すると400円に減額,ジェネリックをいれるとちょっと増額)

      ・長期投薬加算 650円3月までと比較すると,120円ほど増額になっています.再診料や処方せん料は減額ですが長期投薬加算が増額になっているためです.2週間に1回の通院だと,一回あたりの額は少し減額になります.

 

 

糖尿病.月1回通院

 

    糖尿病の場合は,毎月の血液検査が必要です.血糖値のコントロールを客観的に評価できるのは血液検査を見るしかないからです.上記に次の検査料が加わります.

      ・血糖値(グルコース) 110円

      ・HbA1c 550円

      ・採血料 120円

      ・判断料 2900円上2つが検査会社に支払うお金.判断料は結果を見てその評価と対策を講じることに対する対価です.3月までと比較すると,検査料が60円ほど安くなっています.したがって,高血圧/高脂血症にくらべ増額の幅が相対的に減少し,+60円となります.

 

 

鉄欠乏性貧血.月1回通院

 

    上記の「特定疾患療養加算」はあらかじめ定められた病気で定期的に通院する方に算定されます.

 

    高血圧,高脂血症,糖尿病,喘息,ガンなどです.貧血はこの病気の中に入っていませんので,貧血(だけ)で通院している方はこの2250円が算定されません.ただし,これは3月までも4月からも変更がありませんので4月からの料金の増減は高血圧と同じ+120円となります.

 

 

風邪.初診/再診

 

    風邪などの慢性/定期的でない病気の場合は,以下のような項目が算定されます.

      ・初診料 2700円

      ・診療電子化加算 30円

      ・処方せん料 680円

      ・再診料 710円

      ・外来管理加算 520円初診の場合は,初診料が-40円,電子化加算(IT推進だそうで,電子カルテを導入しているなど条件を満たすと算定してよいお墨付きがでます)が +30円で差し引き10円の減額です.しかし,自己負担はこの1割/3割のため,現実的には不変です.

     風邪などでなく,他科の先生からの紹介で受診頂いた場合は,これまでは「紹介患者加算500円」があったのですが,4月からはこの項目は廃止になりましたので,その場合は減額です.再診も10円ほどの減額ですが,自己負担は変わりません.

 

 

ところで(1)

 

    上記の「加算」や「管理料」は,「管理していらんから払わん!」というわけにはいきません.血液検査の「判断料」も「検査結果だけくれたらええネン」と言われても無理です.何となく納得できないところはホテルやレストランのサービス料といっしょでしょうか.

 

 

ところで(2)

 

    医療費減額!という割には当院に定期的に通院頂いている方々ではむしろ増額になってしまいました.どういうことでしょう.主な理由は,「長期投薬加算」の増額にあります.これは「長期投薬をしているとはあっぱれ,褒美をつかわす」ということだと思います(ただしたった200円).月2回の通院と1回の通院ではほぼ倍の医療費になる計算ですのでちょっとくらいイロを付けても長期投薬が広まれば十分医療費の削減になります.病院では月1回,場合によっては 2.3ヶ月に1回の診療は当たり前(そうでもしないと全員を時間内に診察できない事情もあります)でしたので,そのままの感覚で医院診療をスタートした私には月1回の診察は「どうってことない当たり前」のことです.

 

    もともと月2回通院を当然としていた医療機関がいきなり月1回の通院に変更すると,大きな減収になってしまうため,心理的抵抗は大きそうです.月1回にするんだったらなにかメリットがないとなぁ,という気になるのも仕方がないかも知れません.そういうことで考えられた「ご褒美」を思いがけず私も頂いてしまった,というところです.

 

 

ところで(3)

 

    勝手に送られてくる医院経営セミナーのチラシには,「現行の制度の中で最も高い点数を算定する法」なんてものが見出しになっていますが(まるで落語「秘伝書」です.「飛行機にただで乗る法・・・パイロットになれ...」),いつまでも青臭い私は,「なんじゃそら」と思ってしまいます.

 

    収入がなければ家族を養うことができませんので,無報酬の赤ひげ先生になることはできません.(もともと資産家か,スポンサーがついているか,お金持ちからはごっそりもらうか,しかできないと思うのです)でも,「患者さんがお金に見える」医者ってのはご勘弁,ですね.

 

     

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